ショートメッセージのアプリの音がする。
『委員会の交流会するから黒羽くんも来ない?』
新しい学年で、何かしらの委員にはならなくてはいけないからなった。その委員の連絡がショートメッセージアプリになりそのグループに入れられた。
交流会ってなんだ。何かにかこつけて遊びに行きたいだけじゃねーの。にしてもこの女……毎回名指しでメッセージ送ってくる。確か最初は快斗個人のアカウントを教えて欲しいと言ってきた。のらりくらりとかわしてグループ作成となったが、少しばかりめんどくさい。
再び音がする。
「……ん……」
肩にもたれかかって寝ていた青子が身じろぎする。しまった、起きたか。さっきの音では微動だにしなかったけども、二度目ともなると流石に……と思ったけどそんなことはなかった。心地よい寝息が首元にあたる。
『カラオケ。遅れてきても大丈夫よ。』
遅れようが何しようが元々行く気はない。
『ごめん、用あるから無理』
要点だけの返事をし、スマホをソファに置く。肩口にあるぬくもり。ぐっすりと寝入っていて目覚めそうにない。ブランケットでもかけてやりたいところだが、動いてしまうと目を覚ましてしまうかもしれない。それ程寒い季節でもないし大丈夫だろうと結論付けた。
テレビからは終盤に差し掛かった映画作品の音。タイムリープもので、今は亡き恋人に会いに行くとかなんとかという話。最初のタイムリープする前に青子は眠りの国へと落ちていってしまった。夕飯の後か、明日かどちらかに見直すことになりそうだ。
またしてもメッセージアプリの音。流石に嫌になる。通知オフにしておくかと、青子がもたれかかっていない側の手でスマホを取ろうとして、手を滑らせた。パシャ、とシャッター音。変なとこ押しちまったな~と思いながら画面を見る。メッセージの相手は案の定で。
『なにしてるの?』
溜息をついた。こいつには何の関係もない。青子になら、なにしてるの? と聞かれても何でも答えてやりたくなるがこいつはどうでもいい。相手してらんねー……と通知をオフにし、先程のシャッター音で撮れたものを確認する。どうせ大したものではないだろうからさっさと削除してしまおう。
撮れていたものはテレビの画面とふわふわとした青子の髪の毛。ふ、と口元が緩む。首元にある柔らかい髪に寝息。それが写真に取り込まれている。消してしまってもいいが名残惜しくもあり、削除のボタンが押せない。
と、思い立つ。その写真を添付して送信。『一緒に映画見てる』と一言付け加えて。
送ってからグループだから入っている委員会の全員が見てしまうな、と気付くが特に問題はないな。快斗的には全然問題ない。
問題があるとすれば、そろそろ青子が起きてしまう空気が漂っていること位。夕飯の時間も近い。映画が終わったら起こしてやるか。
グループに快斗が落した写真で、見た人間が揉めに揉めたのはまた別の話。