「もう、何でこんな狭いとこにあんたなんかと……」
「しっ、静かに。見つかってしまいますよ」
本当に、なぜこんなことになっているのか聞きたいのはこちらの方だ。
相も変わらず宝石盗んで、同じように宝石狙ってたやつらがいて、何とか巻いて逃げ込んだ先に青子がいて、説明に手間取ったら追いつかれたから青子抱えて逃げて狭い部屋(多分給湯室)に飛び込んだ。今回のイレギュラーは、相手が何かの薬を持っててオレに飲ませようとしたから避けたら、何故か青子が飲んでしまったという。何故。即効性の毒ではなさそうだが。これといった症状が出てきていないのでまだ判断がつかない。
「だって、なんかおかしくて」
「おかしい? どこが…」
怪我でもさせたか? 気を付けてたつもりだけど、どこかぶつけてしまったのかもしれない。出血をしてる様子はないが、明るい場所で見ないと何とも言えない。
「青子さっきから……暑くて……なんか、むずむずして」
オレの胸元にある青子の両腕がせわしなく動く。普段より体温も高い?
もしかしなくても、これは。
「カプセル、飲み込んでしまいました?」
「さっきの? 飲み込んじゃったわよもう。だってなんか溶けて出てくるし飲み込まないようにって言ったって」
普通はその時に吐き出さなければ唾液とともに飲み込んでしまうよな、やっぱり。
「さっきの何か知ってるの?」
言うべきか言わざるべきか。時間として三十分ほど。内服で効果が表れるにはそれなりに正しい時間だ。赤みを帯びた頬に潤んだ目が薬の内容を現している。いや、でも他にもこういう状態になる薬なかったか? 必死に脳内を探るがどんなにしても辿り着く答えは一つ。多分無意識であろう摺り寄せられる体。待ってくれ。こんな状況でさえなければ、と思ってしまうのは男のさがか。
「ね、え……知ってるなら、いいなさいよ……」
吐息が首元にかかる。近い。普段なら絶対キッドとこの距離になろうともしないだろうに。なってもそれは捕まえる時だ。甘い匂いと声と吐息と……ああ、どれもこれもがダメだ。はいはい気をそらせと自分に言い聞かせる。無理に決まってる。気にもしない相手なら適当にやり過ごせるけど、こいつは無理。他の可能性も考えた。考えたがこの症状がどう考えてもあれだ。覚悟を決めて告げる。
「媚薬です」
「……え?」
「わかりやすくいいます、媚薬です。催淫剤とも言いますかね。男性の場合は病気でどうしてもという方に処方されることがあります。女性も同じ成分のものが効くかというとそうではありません。ホルモンが違いますから。漢方などであるとは聞きますが、確実に効いたという話はあまりないですね。まあ、よく判らない組織の方もいらっしゃいますから、男女共用使えるものを作って、出来たから試してみようと……」
ぼんやりとした目で話を聞いていた青子が大きく目を開く。ほんのり赤くなっていた頬がさらに赤くなり、視線を外して呟いた。
「なんでそんな冷静に分析してるのっ……」
「そうは言われましても」
こっちだって冷静になろうと必死なんだよ。いやまじで男女で器質的に違うしホルモンも違うからそういうのは難しいはずなんだけどどこぞの組織ならあってもおかしくないというか。どこぞの国で子供多く作って継承者争いとかそういうとこならあり得る。いまなら人工授精の方が時と場合によっちゃ合理的な気はするけど、ああもう考え纏まんねーな! 大概こういうの使うのは男なんだよ! 判るけど使うなよ! よりにもよって青子が飲むとかありえねえ。
上の階の廊下を歩く音が不意に聞こえてくる。下も。今現在この階にはオレたち以外に人はいない筈。ここから飛び去ったという証拠みたいなのは巻き散らかしてきたから程々に探したら諦めるはずだ。諦めてくれ。自分一人なら兎も角青子がいるこの状態はだめだ。早く家に帰したい。家に帰ったところでこの状態が改善される保証はないけどここよりはましだ。
足音はまだ聞こえている。近くはない。いなくなるまで待ちたい。無理なら音が遠くなった時点で飛び立つことも考える。この状態の青子をあまり動かしたくはないが。離れたくないけど離れたい。
世間一般にある内服薬なら、効き始めるのが三十分くらいだろ、いやでもモノによっちゃ十分か。何度も同じ思考をめぐってる気がする。で吸収始まって、んで翌日に影響は出ないようになってる筈だから、筈であってくれ。四~六時間として、朝には効果が切れるはず……あさか……長いな。朝までこれか……拷問だな……。
青子の呼吸が荒くなっている。言葉は発さない。媚薬のせいだと分かったせいか近づかないよう離れている。そりゃやだよなあ。大っ嫌いなやつとこの至近距離で。胸元の握りこぶし一つ分の距離がせめてもの抵抗ってとこか。オレとしてもその位は隙間空けといてくれるなら助かる。いや、言うほど助かってないな。上半身は離れてる。でも足元とか太ももとかあたってくる。このやわらかいの何とかしてほしい。嫌じゃないのが尚更困る。
「ねぇ……聞きたい事あるの」
「なんでしょう、お嬢さん」
ずっと下を向いていた視線がこちらを向く。上ずりそうになる声を必死で抑えて応える。悪いな、青子。もうちょっと我慢してくれ。なんとかするから。
「なんで快斗と同じにおいするの」
「はい?」
いや、香水とかの話? つけてませんけど? 変装にはリスクしかないからつけるなんて考えもない。親父はステージの時だけ少しつけてたかな。その残り香が部屋に残ってたりはした。使ってたらしい瓶がいくつか残っている。中の液が変色したりもして、使う人間がもういない事を物語っていた。
「……だって、ほら…………」
ネクタイが引っ張られ、オレの胸元が青子の鼻先にくっつく。待て。
「……かいとのにおい、する……」
そのまま体を預けてきた。なんで。
「お嬢さん?」
崩れ落ちそうになる体を抱きかかえると静かな寝息が聞こえてきた。安堵と落胆とその他諸々の感情が入り混じって大きくため息をつく。あー、助かった。
結局これは催淫剤だったのか催眠剤だったのか。効果発現までの時間と効果持続時間がそれほど変わらないんじゃ……それとも最初だけ効かせてしまえばあとは何とでもなるという考えか。それだったら従来の睡眠薬の方が手っ取り早い気がするけど、こういうのは使い手によるから考えない事にする。オレはこういう時には使いたくねえ。
それよりも
「においって、なんの」
自分ではわからない。いや、普通に風呂は入ってるぞ。汗か? 人間だから無臭というわけはない。人の体臭まで真似るのはどうするかな。そこまでするのは長期間の変装の時くらいしか考えられないが、匂いがわかるほど近くによる人など限られている。
普通に盗みだけで、キッドが人とそれほどに近くなることなど無かったわけで、今回はイレギュラー。あの時もイレギュラー。だがしかし、黒羽快斗としては……
「なんで覚えてんだよ」
すやすやと腕の中で寝息を立てる幼馴染に悪態をつく。
気付けば建物の中を音もしなくなっていた。少しだけ扉をあけ、隙間から様子をうかがう。人の気配は感じない。逃げるなら今のうちか。青子は抱きかかえても起きる様子はない。ある意味助かる。まかり間違えて暴れられたりしたらいなくなったはずの連中が戻ってくるかもしれない。窓の桟に足をかけ、軽く体を宙に浮かせて白い羽を出すと、家の方に向けて進路を取った。
+++++++++++++++
こいつ、寝っぱなしだけど大丈夫か? と青子の部屋のベランダに降り立って思う。何の反応も示さない。先程迄の反応はなんだったのか。あまりにも効果時間が短すぎて拍子抜けするほどだった。
勝手知りたる隣人の家。ささっとベランダの大きな窓の鍵を開け、青子の部屋に踏み込む。黒羽快斗でこの部屋に最後に来たのは多分中学の時が最後。そのあとはキッドとしてだ。キッドの方が入り込んでる気がする。どちらも自分だが納得いかないものを感じる。
青子の靴を脱がせてからベッドの上に寝かせる。布団をかけてやっと一息。もう大丈夫だろう。オレも家に帰ろう。と、立ち上がると同時に目が覚めた青子がこちらを見た。起きたなら少し位反応してくれ。心配するだろ。
「どこ行くの?」
どこって、家に帰るよ。ここにいたってしょうがないんだから。
「お嬢さんもお家に帰れましたので、わたしは退散いたします」
「おいてっちゃうの?」
何となくの違和感。青子がそんな言葉をキッドに発するのはあり得ない。もしや、と一抹の不安を抱えつつ帰宅の言葉を継げようとした瞬間
「だって……まだ、」
部屋に明かりはついていない。にもかかわらず上気した頬がわかる。荒い息遣い。血の気が引く。
もしかしてこれ一回で終わらなくて第二派もあるやつなのか。いや、最初に眠らせて、その次が本番?ってことはやべーじゃねーか。見る限りさっきよりヤバい。これ以降もあるならもっとやばい。誰がって、オレが。いや、時間を置けば解消する筈。しかしこのままほおって置くにも……こいつ、自分でできるのか? 学校で習った以上の事以外は知らなそうだけど。知ってるかどうかなんて聞いたりしねーよ流石にオレも。
何かを引っ張られる感じでそちらを見やると、青子がマントの裾をくしゃくしゃと両手で持っている。上気した頬にもぞもぞとこすり合わせる足。伴ってスカートがその位置を変える。白い太ももがあらわになる。こんな状況でさえなければな、とやましい心が持ち上がる。そんな心を押しつぶして、答えの見当がつく質問をほおり投げる。
「何かありましたか」
「どうして……だって、なんか、したい」
分かってるんでしょ、と潤んだ目で見上げてくる。したいといってもな。するんだったらオレもしたいんですけど。流されたい。いや、これは。
「駄目ですよ、お嬢さん。ご自分を大切に」
そう、ダメだ。距離を開けようとするがマントの端を青子が握りしめてそれ以上が無理だった。
流されたら絶対後悔する。しかも大嫌いなキッドだぞ、青子。分かってるだろ? おれはオメーが泣くのは見たくない。しかも原因が自分になるであろう事案。
青子の胸が、足が、腰がオレの体に吸い寄せられるように倒れ込んでくる。横たわるのはベッドではなくそのすぐ横の青子の部屋の床。手はオレの顔に添えられ、輪郭をなぞる。
「あおこじゃ、だめ?」
嫌な訳ねーだろ。普段聞かない声色。潤んだ目。唇もなまめかしく。でも見てるのがオレでよかった。他のやつらには見せたくねえ。あーくそもったいねえ。
「ちゃんと好きな人とするものですよ、こういう行為は。今のあなたは薬の影響で気の迷いが生じているだけです。」
丁度いいのがそこにいたからそう思ってるだけだよ。大っ嫌いな相手ですらその対象に入れてしまうほどに。なんて薬だよ。作ったの誰だ。青子の背中に手を回し、なだめるようにぽんぽんと軽くたたく。
「治まるまでは一緒にいますから」
この状態の青子を放り出すわけにはいかない。薬が切れるか自分の性欲がヤバくなるかどっちもダメか考えたくはない。良かったな、他の変なやつらの前じゃなくて。絶対やられてるぞ、こんな状態。あーもういっそやってしまえばいいんじゃないかとか悪魔の声が聞こえる。そりゃやりてーに決まってんだろ気をそらそうにもこのゼロ距離が邪魔をする。息遣いやら髪の毛やら皮膚やらあったらそらしようがない。
性欲を抑える薬も持ち歩いてたんだからどこかで飲めばよかったか。解毒剤もあったな。こんな仕事してたらいつトラップかけられてもおかしくない。対処できるものは常に持つことにしていた。飲んだことはないが。飲むなら今だったのだろうな。飲む隙がなかったわけではない。少しは期待していたのか……って期待するだろやっぱり。しないわけないじゃん。好きなやつが、媚薬で、自分の前でってシチュエーション。
「……てるの」
「はい」
「かいとににてるの、なんで? 変装よね? すごく似すぎてて、なんで……」
そりゃあ変装じゃなくオレだからな。鍵の開け方とか知ってるのおかしいと思わなかったのかよ。そんな状態じゃなかったな。オメー寝てたわ。
「かいとならいいのかなって」
子供をあやすようにぽんぽんとゆっくり背中を叩いていた手がとまる。
「かいととなら、こうなってもいいかなって……青子、思って」
思わず素で声が出そうになった、が、いや多分なんか幻聴かな。幻聴だ。言い聞かせる。期待は禁物だ。
「あおこ、幼馴染でしかないの知ってる。けど、だから、だったら、こういう時だったら」
「落ち着け青子」
しまった、キッドじゃなくなった。何言ってんだっていうか、何の話だ?
「あのね、あの」
「はい」
「かいとがすきなの」
「え」
「だから、だったら、だったらね」
呼吸がかかりすぎる位の状態でそれは流石のオレでもキャパオーバーだ。今かよ。大体なんでキッドに言うんだ。分かってるよ薬のせいだろ。似てるからって似てるやつで済まそうとすんな。ちゃんとオレに言えよ。自分を棚に上げて言うのもなんだがむかついてきた。
「似てるからその相手で済ませようとするのは、失礼ではありませんか?」
少しだけ怒りが声に滲み出る。何だかんだで青子はキッドには素直だよな。あれいやこれいや、あれは好きこれも好き。ちゃんと言える。なんでだよ。
青子が一瞬、息をのむ。そしてうつむく。ぱたぱたとオレの胸元に暖かい水が落ちてくる。しまった。泣かせたくなかったのに。もうちょっとうまい言い訳なかったものか。声にならない泣き声にオレまで涙が出そうだ。
「ごめんなさい……ごめ……な」
ああ、うん。分かってる。あんなとこであんな薬飲まされてしまってそんな状態なんだよな。元はオレに飲ませるつもりだったはずだから、オレのせいだよな。ごめんな青子。落ち着かせるつもりで背中をぽんぽんと叩く。ごめんな。
「薬のせいで冷静な判断が出来なくなっているだけですよ。いつものあなたならそんなことはないでしょう? この状態なら捕まえる事すらお手の物では?」
キッドらしく煽りながら、黒羽快斗らしくおどけて答える。後半は気付かずにいて欲しい。顔を上げた青子と目が合う。ちょっとだけ笑って、そしていつもの挑むような視線がくる。ああ、いつもの青子だ。
「そうよ、今だったら、すぐ捕まえちゃうんだから」
胸元に置いていた手がオレの背中に回り込む。オレの胸に顔をうずめると捕まえた、と呟いた。最初から捕まってるよ。オメーにはよ。少しの間そのままでいた青子が何かに気づいたように顔を上げ、こちらを見る。
「何か?」
「こういうのも真似れるの?」
「どういう?」
「抱き心地」
今日は防弾ベスト着てねえから黒羽快斗まんまだよ、と答えようとして心の中で真っ青になる。
「体型も真似てないと変装とは言えないでしょう?」
すっげえガタガタの言い訳にも関わらず、青子はふーんと納得している様子で。なんでそんな簡単に騙されるんだオメーは。
「キッドはこういうのよくあるでしょ? その、女の人ととか……」
「ないわけではありませんが」
ないわけではないけど。あっても役得以上に何かのトラップ紛れ込んでるしか言いようがねーよ。逃れるために何度かやったが、その度に青子と出来ねーのになんでって思い出して後で辛くなるっていう。
やっぱり! とぱっと顔を明るくすると
「だから青子には何にもしなかったんだ。よくあるんだね」
よくある事でもないし相手が青子だし全身全霊こめて抑えつけてましたけど今からでもやってやろうかこいつ。無邪気さにすこし苛立つ。こういう状態の時に強姦起こる率高いとかなんか聞いたな~反論とか拒否とか。こういう時、男の頭脳は脳から移動してんじゃないかとか。どれもこれも推論の域出てなかったけど気分は判る。判るけどそれ以上にいつもに戻ってきた青子に安堵する。
「ねえねえ、何かお薬あるの? ああいうお薬あるなら逆もあるの?」
「そうですね、抑えるお薬はありますね」
なんでこんな話してるんだろう。きゃっきゃと楽しそうな青子に水を差す気にもなれず。普段ならこんな話も絶対しないだろうし照れて赤くなってしまうだろうから、やっぱり薬のせいか。少し抜けてきた感じはある。これ以降ぶり返しがないならもう大丈夫か。この状態から解放してくれ。
床から青子ごと起き上がり、彼女だけベッドの上に座らせる。どうして、みたいな表情を向けてくるが別に力で押さえつけられてたわけじゃないからオメー位軽く動かせるんだよ。
「もう大丈夫でしょう? もし、揺り戻しが来るようなら彼を呼んだら如何です? 来て下さると思いますよ」
ウインク一つして、ベランダへの窓ガラスを開ける。
「なっ……なん……いって…………」
ああ、これは完全に抜けたかな。意外と短かったな。ちょっと勿体ない感もするけど、次のためにおいとこう。
動揺している青子を背に手すりに飛びあがるとグライダーを広げ、空へ飛ぶ。遠くに声が聞こえる。あーあー怒ってるなこれは。近所迷惑だからちょっと大人しくしとけよ。
しかし、自分の熱さましてないと明日絶対やばい。てーか、この状態で学校かよ。しぬな。でもまあ、青子に何もなくてよかった。その一点に尽きる。
++++++++++
ちゃんと起きれたというか寝てないというか。寝るのは学校でいいや。朝の太陽まぶしいな、とか思いつつ青子の家に足を運ぶ。余程朝飯断ろうかとか思った。でも家に食べるものはないし買いに行くのもめんどくさいし腹は減るし。生理現象はいろいろと辛い。インターホンを鳴らすと軽やかなチャイム。軽やかさにすらイラつきを覚えてしまい、ダメだ寝ないとと思ったところで青子が出てきた。
「おはよう。ご飯準備できてるよ」
「さんきゅ。すぐ食べる」
靴を脱ぎ、よいしょと上がり框に足をかけたところでオレから視線を外さない青子に気づく。
「どうした」
もしかしてキッドだと気づいたとか? においとか体型やら異様に気にしてたし。気付いてもおかしくない。どうやり過ごすか思考を巡らすが、告げられた言葉は別のもの。
「青子が電話したら来てくれる?」
「いつ? どこに?」
「夜とか」
「夜って。オメーおきてんのか」
夜は日付変更線超える前には必ず寝てるだろ、と反射的に返そうとして昨夜、自分が言った言葉を思い出す。
『もし、揺り戻しが来るようなら彼を呼んだら如何です? 来て下さると思いますよ』
いやいや、それはない。ないったらない。
「起きてる時もあるもん」
後ろ手に拗ねた声色。今は黒羽快斗だ。キッドじゃない。昨日のことは思い出すな。まだ何も言われてない。聞いてない。
「そりゃ、呼ばれりゃ行くけど。何しに……」
「じゃあ今度は呼ぶ」
「はぁ!?」
不用意にでかくなってしまった声に青子が顔をしかめる。
「なによーダメなの?」
「いや、いいんだけど、何に……」
「ないしょ」
「はあ……」
何で呼ばれるのかどれの話なのか。オレの気持ちもてあそぶの上手いよな、青子。取り合えずポーカーフェイスが役に立ちそうだ。あー、腹減った。